グッドデザイン賞

2021 共用部を活用したエリアマネジメント [まちのツールボックスとまち保育]

共用部を活用したエリアマネジメント [まちのツールボックスとまち保育]

受賞対象名:共用部を活用したエリアマネジメント [まちのツールボックスとまち保育]
部門 / 分類:中〜大規模集合住宅関連のサービス、システム / HEMS

「まちのツールボックスとまち保育」は、横浜市緑区十日市場で推進しているSDGs未来都市・横浜「持続可能な住宅地推進プロジェクト(緑区十日市場町周辺地域)」における「十日市場センター地区22街区事業」に関し、中核となる全256戸の新築分譲マンション「グレーシア横浜十日市場」のシェア共用部を活用したエリアマネジメント。
少子高齢化による地域コミュニティの衰退や子どもの居場所や子育て世帯を支える機会の不足といった地域課題解決のため、身近な地域の多世代と交流をしながら、子どもの育ちを地域でフォローしていく「まち保育」をテーマに掲げ、マンションのラウンジやステージなどを「シェア共有部」として地域にひらくとともに、多世代がチャレンジしたいと想う、ものづくりや学びなどに必要な道具が揃った「まちのツールボックス」を整備。これにより、子どもも大人も、マンション住民も地域住民も、時間・空間・道具をシェアし、偶発的な出会いや活動が創造されていくことを目指している。

【受賞となったデザイン・環境等に対する物件特徴】

「まち保育」の考え方を取り入れ、家庭や保育園などで子どもを囲い込むのではなく、できるだけ地域にひらかれた場や機会を提供し、身近な地域の多世代と交流をしながら子どもの育ちを地域みんなでフォローしていく子育ての環境づくりに取り組む。通常の分譲マンションでは住民の専用施設として設置されるエントランスホールやラウンジなどを「シェア共用部」として地域にひらき、様々な人々とシェアし活動を生み出していくことでマンション住民にとっても実際に活用したくなる価値ある施設にしていくことを目指した。
マンションには9戸のエリアマネジメント賃貸住宅を併設し、賃料をエリアマネジメント活動の原資とすることで継続性を担保している。

<審査委員評価コメント>

大規模集合住宅におけるコミュニティ形成、そして近隣地域との接続という課題への創造的な提案である。まちでシェアする道具箱というコンセプトで多様な空間・機能を設けるアイディアは、行政としてのエリアマネジメントの視点と民間事業体としての価値創造の視点を統合する新しい方法としての可能性を感じさせる。日常生活の楽しみをサポートするアメニティとしてだけでなく、多世代の持続性ある地域社会を支えるOSとして、その進化がどうマネジメントされていくか、今後も注目したい。