グッドデザイン賞

2016 GLOBAL FRONT TOWER

GLOBAL FRONT TOWER

受賞対象名:GLOBAL FRONT TOWER
部門 / 分類:住宅・住空間

約7.7haもの大規模駅前再開発が進行中である田町駅東口に隣接する、地上34階、総戸数883戸の分譲マンション。山手線徒歩圏内、6駅7路線が利用可能なアクセスの良い都心立地でありながら、東京湾につながる芝浦運河に抱かれたこの地に、大規模な都心居住環境を創出するにあたっては、「都心のウォーターフロントに心地よく住まう」という都市生活スタイルの提案を目指した。旧港エリアの再開発など、都心のウォーターフロント開発は世界的にもトレンドとなっているが、本物件も、倉庫や工場が立ち並び、一般の方には運河が閉じられていたエリアに、都心にいながら水辺で自然のやすらぎを感じられる住空間の創出を目標とした。

【受賞となったデザイン・環境等に対する物件特徴】

総合設計上必要な公開空地は「水辺沿い空地」とし、敷地面積の半分以上にもなる約5,800㎡の親水広場を運河沿いに確保。四季を楽しめる親水庭園を実現するため手本としたのが、計画地に近接する浜離宮と芝離宮。日本を代表する2つの離宮は、計画地と地質や環境が似ているため、同様の生態系を再現できれば豊かな緑を再現できると考えた。実現にあたっては四季の変化を知るため一年間にわたり現地調査を実施。植栽の種類、計画的に作られた高低差や曲げられた遊歩道などの作法を学び、そこで得たノウハウを現代風に再構築。さらに知育のための果樹や虫を呼ぶ木などの要素も加えた。また建物内外のいたるところに、波紋のゲートや海のアートなど、水辺の暮らしを感じさせる様々な仕掛けを造り込んだ。建物は免震構造とし、地下を造らず防災センターや電気系の機械室を2階よりも上に設け、津波や高潮に対して絶対的な安心感のある建物とした。

<審査委員評価コメント>

「水辺沿い空地」という制度を用いて、公共に開かれた、運河の風景を楽しむ庭を創出した点が評価された。マンションの空地としてだけでなく、運河沿いの環境整備を通して既存の水面の価値の向上に貢献するプロジェクトである。